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nosh(ナッシュ)で差別発言とも取れるような社内チャットがリーク。同社No.2が「デブは採用しない」と述べ物議を醸す

先日5日(水)、週間文春にてナッシュについての記事が公開されました。
といってもポジティブな記事ではなく、社内で差別発言とも取れるようなチャットが、上層部より送信されたとのことです。


ナッシュ社を率いるのが田中智也社長(43)。今回、問題発言をしたのは取締役で、No.2のA氏である。
「二人は師弟関係でA氏は田中社長には逆らえない。社内では『社長の太鼓持ち』と言われている」(元従業員)  
小誌はA氏がマーケティング部の役職者に送った社内チャットを入手した。そこで彼は、こう呼びかけている。
〈今後の新規採用においては、マーケの内規としてデブの人は採用しないようにしましょう〉
〈仕事できない確率が高いと考えており、かつ、権利主張が激しく、ナッシュと相性悪く双方不幸せな結果になると思ってます〉

https://news.yahoo.co.jp/articles/e0e45b1a7145b6d82cf01e2fcbacef49ab0f9e75

この発言について文春がナッシュ社A氏に確認した所、「言ってますね」と認めていることから、チャットが送信されたことは事実なのでしょう。

またその後にかかれている弁明を見ても、発言について後悔をしているかは不明です。

「日本って太っている人より普通体型の方がメジャーなわけですよ。太っている人の方が好きというのは数が少ないと思うんですね。そんな中で自分の食欲に貪欲になり続けるのは、仕事でもだらしない方向に出ちゃうんじゃないのかなって」

https://news.yahoo.co.jp/articles/e0e45b1a7145b6d82cf01e2fcbacef49ab0f9e75

更に有料記事内では「親族をなくした女性従業員への暴言」「過剰な残業時間」等の情報もリークされ、社内体制が問題視されています。

目次

ナッシュ社の対応 – 容認できない物とし、外部専門家による調査委員会を設置

ナッシュ社としては「不適切な発言」「容認できない物である」とし、「本人も現在は反省している」旨がリリースされています。

当該チャット内で特定の方に向けて発言されたものではなかったものの、当社としては不適切な発言であり、到底容認できないものであると考えており、当該取締役も現在は反省しております。今後、同様の事態が生じないよう、当社役職員全体への教育の機会等の設定等を含めて対応していく所存です。

https://news.nifty.com/article/economy/business/12113-1910652/

また、有料記事内で触れられていた「パワハラ」「残業時間」等についても、概ね事実であることが確認され、対応・処分の検討を行うとのことです。

デブの人は採用しないように」法的に問題はあるのか?

ところで、少し気になる点として「デブの人は採用しないようにしましょう」という本題の発言について。
もちろん「不適切な発言」であることは確かですが、そもそも法的に問題はあるのでしょうか。
もし法的に問題があるとすれば、いずれ上場に挑戦する際等、大きな足枷になるかも知れません。

男女雇用機会均等法では「労働者の身長、体重」を要件とすることが禁じられている

法律の中で「労働者の体重」等に関わるものとして「男女雇用機会均等法」があります。
法の条文中に「体重を要件とすること」が明記されているわけではないのですが、「間接差別」の例として挙げられている1例の中に「募集・採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること」という文が含まれています。(PDF

もちろんこれは「体重を要件とすることで男性のみ・女性のみを採用しようとする」ことを防ぐために作られた法律のため、今回のように「仕事ができるかどうか」「社の相性」を理由としたケースが厳密に当てはまるか、と言われれば少し微妙なところです。

といっても、禁止されている以上、要件にしてしまえば違法です。
ただ、今回は求人の条件として「体型・体重」を明記した訳でなく、「内規」として定めたものなので、この状況から「法律に違反している」とするのは、少し難しいかもしれません。

採用面接で体重等を聞いて、行政指導を受けた例も

もう一つ抵触するかもしれない例として、『職業安定法』があります。
『職業安定法』の中では、「業務に直接関係ない個人情報の収集」が禁じられています。

かつて大手食品メーカーが、採用希望者に対して、面接票に「身長・体重・ウェスト」を記入させていました。
同社は10年以上そのような措置を取っていたようですが、公共職業安定所(ハローワーク)より行政指導を受けたようです。

同工場は昨年12月22日、ハローワーク茨木(大阪府茨木市)から「身長、体重、既往歴を聞くのは問題がある。直ちに法律違反ではないものの、法に抵触する恐れがある」とする指導を口頭で受けた。

https://www.asahi.com/articles/ASP155R6HP15PTIL008.html

興味深いのは身長・体重を聞いていた理由です。
同社は「作業着を作るために確認していた」との理由を述べています。(もちろん、真実なのかは確認できませんが…)
ナッシュ社のような「仕事ができるかどうか」「社の相性」といった理由よりはだいぶまともに見えます。
しかしそれでも「法に抵触する恐れがある」とのことで行政指導を受けました。

なお、これも「面接票」に書かせたことで問題視された可能性があります。
「内規」として定めることで行政指導を受けるのか、という点については、少し疑問が残ります。

法には反しない…としても、「差別」とみられて仕方ない発言

しかしながら、「法に反していない」「募集要項ではなく内規だった」という点を加味しても、やはり今回の発言には問題視すべき場所が多々あります。

まず「デブ」という言い方ですが、明確な差別用語ではないにしろ、侮辱発言の一つであることは確かです。
例えば過去に、市会議員がスナックの従業員を「デブ」と侮辱したことで「29日間の勾留」という重い処分が科せられています。(民事訴訟でも慰謝料30万円が認められたとのことです)
今回の文章では特定の人物に対して投げかけたものではないため、このような侮辱罪には当たらないでしょうが、それにしても不適切な表現です。

また、「デブの人」が「仕事できない確率が高い」「権利主張が激しい」という発言についても、科学的根拠がない決めつけです。
そもそも日本人の場合、生活習慣等が乱れていたとしても「インスリン分泌障害優位」のため、太らないままの人も多くいます。
更に、堀江貴文氏や、Appleの創業者スティーブ・ウォズニアック氏等、太っていても著しい成果を出している人は世に五万といるでしょう。
このような面を見るに、A氏の発言は「差別発言」と取られても仕方がなく、「社内チャット」と言えど社会通念上許される発言ではないと言えます。

他の食品会社ではどうなのか 福利厚生や健康手当の試みも

さて、上記の通りA氏の発言は決して容認できるものではありませんが、
実際問題として「食品」を扱う会社において、社員の体型や健康が他業種より重要なことは確かです。
もし社員が肥満な方ばかりになってしまった場合や、健康を損ねてしまった場合、事実に反して悪評が広まってしまうリスクもあります。

そこでポジティブな施策として、福利厚生に健康関連の支援を盛り込んでいる食品メーカーもあります。
例えば健康セミナーの開催や、健康食品・サプリメント購入の補助、運動支援等です。

また、健康を維持している人に対しての優遇措置も図られています。
BMIやメタボリック・シンドロームの診断基準をクリアしている人に対し、「健康手当」を支給する等の措置です。
実際、私が勤めていた食品会社でもこの制度があり、多くの社員がリアルに自分の健康を意識することができていました。

労働契約法の中には「健康管理義務」というものもあります。
雇い入れた労働者に対して、心身の健康状態の把握、健康管理に努めなければならないと定めた法律です。
従業員の体型や健康が大切であるならば、このようにポジティブな方向で是正を促すのが最善手と言えるでしょう。

ナッシュ社に対するダメージ…顧客離れは必死か、立て直しが期待される

実のところ、「法に反するか」「適切だったか」という点より、
「ナッシュの顧客に対する裏切り」という面が正直一番深刻ではないかと思われます。

ナッシュは冷凍弁当の販売を行っている会社です。
サービスの特色として「糖質30g ・塩分2.5g以下」を上げており、顧客の中にはナッシュを利用して「ダイエット・痩身」を図る方も多数おられるでしょう。

そのような顧客や見込み客が、社内チャットとは言え今回のA氏が語った発言をみて、どのように感じるでしょうか。
「ひどく傷つけられた」「利用したくないと感じた」と言われても仕方がないような発言です。

また、文春の有料記事内であげられている内容には、「パワハラ」「過剰な残業」といった点も指摘されていました。
こちらは疑いようもなく違法です。

ナッシュ社が今回の事案に対してどのような対処・処分を下すかはまだ明らかにされていませんが、
一時的な顧客離れや業績悪化は避けられないでしょう。

しかしながら、ある意味この程度の傷で済んだことは喜ぶべきことなのかも知れません。
これが社内チャットではなく、外部に向けての文章だったら?
すでに上場を行った後だったら?
更にまずいのは、「顧客に対する不遜な態度」「パワハラ」「過剰な残業」といった行為が表沙汰にならず、
被害者を生み続けたまま会社が大きくなってしまったら……

その方が悲劇かもしれません。

今回の文春記事を受けて、ナッシュ社は「より一層のコンプライアンス遵守体制の構築に努める」と述べています。
多くの人がナッシュの製品・サービスを評価しているのですから、ぜひこの機会に今一度社内を見直してもらい、健全な会社へ変化を遂げてくれることを祈ります。

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この記事を書いた人

30代(男)
ベンチャーIT企業に勤務しており、趣味は筋トレ。
5年前に15キロ以上のダイエットに成功し、現在もキープ出来ています。
基本効率重視!お酒はなんでも飲みます。

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